当ジムで実際によくあるご相談、50代以降の女性の血糖値対策についてのお話しをしていきます。
「食事も気をつけて、毎日歩いているのに、HbA1cが下がらない……」
健康診断の結果を前に、そう肩を落とす50代の女性は少なくありません。
加齢とともに代謝は落ち、気づけば「境界値」に。そんな現実に直面した時、これまでの「なんとなく体に良さそうな運動」を卒業し、身体の原理原則に基づいたアプローチに切り替える必要があります。
独立して5年8ヶ月、50歳以上の女性専用パーソナルトレーニングジム「みかとれ」の現場で私が目撃してきた「数値を変えるための真実」をお伝えします。
1. 50代女性が陥りやすい「刺激不足」の罠
ウォーキングや、自宅で動画を見ながらのトレーニング。これらは素晴らしい習慣ですが、血液中の糖をグングン吸い込む「筋肉という名の燃焼工場」を稼働させるには、どうしても刺激が足りません。
もともと筋肉量が少ない50代以降の女性にとって、今の体が少し驚くような負荷をかけない限り、代謝のスイッチはなかなか入らないのが現実です。
2. 「はやりのピラティス」で整える前に、やるべきこと
最近はピラティスが大ブームですね。私自身、初級レベルのインストラクター資格を保有しており、その良さは十分に理解しています。腰痛がある方や体力に自信がない方へのアプローチとして、非常に有効な手段の一つです。
ただ、もし今の目的が「HbA1cを改善したい」「代謝を劇的に上げたい」という切実なものなら、順番が違います。
ピラティスで整えるのは、大きなエネルギーを消費する下半身を動かし、代謝の土台を作ってからでも遅くありません。
3. 数値を動かすための「トレーニングの原理原則」
なぜ、「みかとれ」ではあえて、はやりのピラティス中心ではなく重さ(負荷)にこだわるのか。それは、身体を変化させるためには避けて通れない原理原則があるからです。
・過負荷の原則:日常の動作を少し超えた刺激を与えない限り、身体は現状を維持しようとします。
・漸進性の原則:身体が慣れたら、また一段階上の負荷へ更新していくこと。
この原則を無視して、何年ウォーキングを続け、そこに軽い運動や自己流トレを足してみても、身体は省エネモードで慣れてしまい、肝心の代謝はなかなか上がりません。
4. 現場で起きた、うれしい変化
「みかとれ」の5年8ヶ月で向き合ってきた、リアルな事例をご紹介します。
・60代現顧客:検診結果を見てご本人が一番びっくり!
ある60代のクライアント様のエピソードです。その方は数値を下げることを目的にされていたわけではなく、健康維持のために「みかとれ」で筋トレを継続されていました。ところが、筋トレを始めてしばらく経った後の健康診断で、血糖値の項目が改善。「えっ、何かしたかしら?」と、ご本人が一番驚かれていました。正しく負荷をかける習慣が、日常生活の中で着実に体内に作用していたのです。
・専門家も驚いた「数値の変化」
中には、体質やお身体の事情により、数値のコントロールが極めて難しい状況にある方もいらっしゃいます。ある50代の女性クライアント様は、それでも原理原則を大切にトレーニングを継続されました。その結果、検診の数値に明確な変化が現れ、主治医から「一体、何をされたんですか?」と尋ねられたそうです。その報告を受けた時、私も改めて身体の可能性を実感しました。劇的な魔法ではなく、毎週の正しい積み重ねが、客観的なデータとして静かに現れた瞬間です。
・一方で、向き合うべき「個別の事情」も もちろん、すべてがスムーズに進むわけではありません。
体質や服用しているお薬の影響、あるいは体力の限界など、どうしても強度のアップが難しいケースも存在します。また、一度数値が安定したことで安心し、負荷の更新を緩めてしまった結果、数値が足踏みしてしまうこともあります。現場は常に、こうしたお一人おひとりの今の状況との戦いです。
5. 「週1回」の継続が、結果を左右する理由
先日、HbA1cが高く服薬もされている60代の方からご相談をいただきました。
ただ、お話を伺うと「通えるのは月に2、3回程度」とのこと。私はプロとして、その頻度では数値の改善という目標を達成するのは難しい旨を、正直にお伝えしました。
これも大切な原理原則の一つです。特に数値の改善を目指す場合、筋肉への刺激と代謝のサイクルを考えると、最低でも週に1回の頻度で継続することに大きな意味があります。
月2、3回の不定期な刺激では、せっかくかかった燃焼エンジンが次のトレーニングまでに冷え切ってしまい、変化が起きにくいのです。本気で結果を出したいからこそ、まずは週1回の時間を自分のために確保するという決意が、何よりのスタートラインになります。
6. 相乗効果を生む「下半身・3大メニュー」の組み合わせ
血糖値を動かすなら、やはりこの3種目が最短ルートです。
・デッドリフト:お尻からもも裏(ハムストリングス)、背中までを総動員。強固な体幹の安定が、高負荷を安全に支え、全身の燃焼スイッチをオンにします。
・ブルガリアンスクワット:前もも・お尻・もも裏といった下半身を総動員。片脚での動作は体幹もフル稼働し、大きな刺激を届けます。
・ヒップスラスト:人体最大の筋肉であるお尻を厚くし、寝ている間も糖を処理できる「究極の貯蔵庫」を完成させます。
7. 現場でのこだわり:仕上げの数分
メインは下半身への徹底したアプローチですが、その日の体調や個々の事情に応じて、仕上げにピラティスのエッセンスを数分取り入れることもあります。最後の一締めに軸を整えるスパイスとして、資格を活かしたアプローチを使い分けています。
大切なのは何をやるかという流行りよりも、そのプログラムが今のあなたの数値を変えるだけの、原理原則に基づいた構成になっているかです。
8. まとめ:自分の体は、正しく変えられる
50代からは、痩せるの先にある燃やせる体へ。
加齢や、人それぞれ抱える壁があっても、下半身を多角的に鍛え抜き、最後に体幹を締める。
その積み重ねが、次回の健康診断での喜びを生み出すのかもしれません。
